TOKYO KASEI GAKUIN UNIVERSITY presents
TOKYO KASEI GAKUIN UNIVERSITY presents

宝来屋「新しい和菓子ができるまで」編

関連テーマ
  • 菓子
  • おやつ
宝来屋
「新しい和菓子ができるまで」編
千代田区九段南
新しい和菓子ができるまで

今回、東京家政学院大学の近くにある宝来屋さんと本学4年生の先輩方がどら焼きの商品開発を行ったので、1年生の私たちは開発秘話や和菓子についてインタビューをしました。
宝来屋さんは明治元年(1868年)当地・九段上に創業した約150年の歴史ある和菓子屋です。

今回商品化されたどら焼き

ほうじ茶どら焼き(ひぐらし)

夏を連想する緑のうぐいす餡を秋のほうじ茶の皮が包んでいるイメージ。

白いなめらかな餡の中に、粒の食感を感じる北海道産の在来種の青えんどう豆を使用したうぐいす餡が入っていて他のお店ではなかなか味わえない、豆の味がしっかりしたうぐいす餡となっています。また、袋を開封した際に静岡県産のほうじ茶の香ばしい香りがします。

ほうじ茶どら焼き(ひぐらし)

商品開発~ひぐらしができるまで~

商品化されたどら焼きできるまでの過程を4年生の先輩方と宝来屋さんに聞いてみました!

<先輩方とのQ&A>

  • Q.

    コンセプトを決めるうえで参考にしたことを教えてください。

  • A.

    今までのアルバイト経験やインスタグラムなどを活用し、自分たちがどのようなものが食べたいかということを考え、そこから発案していった。自分たちらしさを出せるようにした。

  • Q.

    どのくらいの期間、試作や話し合いを重ねましたか。

  • A.

    数か月間かかった。宝来屋さんとの話し合いは三回ほどと回数は少ないが、長い時間話し合った。

  • 宝来屋さんと対面での話し合いの様子
  • 宝来屋さんとオンラインでの話し合いの様子
  • Q.

    商品開発はどのような流れで行いましたか?

  • A.

    大まかに分けると、流れは以下の通りです。


    事前準備→開発→提案→修正→完成


    最初に、今回一緒に商品開発をする宝来屋さんがどのようなお店なのか調べるため、まず、インターネットで販売している和菓子の種類や特徴を調べることから始めました。次に、実際に伺って和菓子を味わい、店内の雰囲気や客層を観察しました。一通りお店のことを知った後、一般的な和菓子の種類や特徴、材料や作り方を調べました。それらをもとにコンセプトを決め、案を出しました。特に季節感や新奇性、実現可能性を意識しました。

    コンセプトが決まった後は作り方を参考に、味や材料を決め、作りたい大きさをもとに材料や配分を決めていきました。それらが決まったら企画書を作っていきました。イメージ画やコンセプト、材料や作り方、そして栄養計算を記載していました。企画書が完成したら、お店の方にプレゼンテーションをしたのち話し合い、実現化させるために研究を重ねていきました。

  • どら焼きに使用されている青えんどう豆について話している様子
  • Q.

    試作や話し合いなどで楽しかったことはなんですか。

  • A.

    私たちは商品を発案することと、作り方を考えることを役割分担し、十何種類もの商品を考案しました。発案したものがイラストに実際に描かれていくことが楽しかったかな。

  • 先輩方が考えた商品の企画書

取材を通して

宝来屋の職人さんに新商品の考案方法を伺ったところ、「紅葉や桜など四季の景色を見に行ったり、女性の化粧品やイヤリング、ピアスなどから発想を得ている」とおっしゃっていました。生活のさまざまなところに新しいアイデアが眠っているのだと感じました。

どら焼きに関わらず新しい商品を生み出し、商品としてお客様に提供できるようにするまでには、文章で説明すると簡潔に終わってしまいますが、試行錯誤しながらとても長い時間と工程があることがわかりました。

和菓子の魅力

和菓子のことを知り尽くしている職人さんが思う和菓子の魅力について聞いてみました!

  • Q.

    和菓子の魅力とはどのようなものだとお考えですか?

  • A.

    家族団らんで一緒に食べて楽しめるということ。

    職人さんのご家族も家族団らんで和菓子を食べることがあるそうです。また、家族団らんの場でおいしいね、と言いながら食べてもらえるような和菓子を作りたいとおっしゃっていました。
    一つと思っていたのに思わずもう一つと手が伸びてしまうようなおいしさ、価格帯を大切にしたいとも。おいしさの秘訣の一つは、宝来屋さんの餡に使われている北海道産のこだわりぬいた貴重な豆だそうです。

    実際に宝来屋さんの和菓子を食べたら本当にもう一つと、ついつい食べ過ぎてしまうようなとてもやさしい味で、私たちもすっかり虜になりました。

和菓子と洋菓子の違いについて

突然ですが、皆さんは和菓子と洋菓子の境目はどこなのか、考えたことはありますか。
今回の取材の中で、職人さんと一緒に考えました。

日本には、和菓子しかなかった時代がありました。次第に洋菓子が日本に入ってきて、今では洋菓子に限らずいろいろなものが融合され、境目がなくなってきています。

和菓子と洋菓子の違いについて、職人さんが考えていることと私たち学生が考えることに違いはあるのか気になり、この機会に質問させていただきました!

最初は和菓子と洋菓子が交わることはなく、融合は邪道であると考えられることもあったそうです。しかし、現在、和菓子と洋菓子が何なのかという、はっきりとした定義はないとのこと。

例えば、イチゴ大福。大福の中に果物が入っているということに、その当時は職人さんたちも驚いていたそうです。しかし、今では職人さんの間でも和菓子と洋菓子の境目がなくなり、おいしい菓子として一般に受け入れているとおっしゃっていました。

また、商品開発を行った先輩方にも伺ってみると、お二人とも和菓子屋さんでアルバイト経験があり、和菓子に親しみを持っていましたが、和菓子と洋菓子の間の境目は特に気にしたことがなく、区別する必要もないという回答でした。

インタビューした私たちも、和菓子と洋菓子の境目についてしっかりと考えたことがなく、結論を出すことが難しいと感じました。和菓子屋さんの商品だったら和菓子、洋菓子屋さんの商品なら洋菓子と感じるという意見もあり、そう感じている人が多いのではないかと感じました。

しかし、和も洋も日々時代とともに融合したりしながら、新しくおいしい菓子ができあがっていくという、文化の変化の中で、多様な食べ物ができあがっていく面白さに気づくことができました!

今回の取材を通じて感じたこと

この取材を通じて、商品開発がどのような流れで行われているのか知ることができました。

取材させていただく前は、商品開発と聞くと漠然と楽しそうというイメージしかありませんでしたが、楽しいだけでなく商品として提供するという責任感が作り手にはあり、試行錯誤を重ねて商品が完成しているということを知りました。

取材の中で最も記憶に残っていることが二つあります。
一つ目は、和菓子と洋菓子の境目についてです。職人さんが学生の私たちの意見も聞いてみたいと言ってくださり、私たちが考える境目についてお話しさせていただいたのですが、職人さんご自身も私たちと同じように和菓子と洋菓子の境目は分からないとおっしゃったことにとても驚きました。

二つ目です。宝来屋さんの新商品のアイデアは、紅葉や桜など四季の景色を見に行ったり、女性の化粧品やイヤリング、ピアスなどから発想を得たりしているとおっしゃっていたことです。食とは結び付かないようなところからもインスピレーションを得ていることにとても驚き、新しい発見となりました。

管理栄養士の卵として

今後、食事の献立を立てることと、商品開発することは、違うことのようで似ていると感じました。行事食の献立を考える際は、インタビューでお聞きしたことを生かして今までの伝統的な食事を守りつつも、日常の中でアイデアを見つけたり、四季とともに移り変わっていくきれいな風景を見に行ったりして、献立の彩りの参考にしていきたいと思いました。今まで食と結びつけて考えていなかったものも職人さんのお話を聞いたことで、アイデアは日常に潜んでいるということを忘れずに、今後の学生生活や管理栄養士として働く際に、生かしていきたいです。

取材先
宝来屋
住所 〒104-0074 東京都千代田区九段南2-4-15
TEL 03-3261-4612
HP https://wagashi.houraiya.co.jp
店舗からのメッセージ

今回の取材を通して、学生の皆様、そして、HP「たべチヨダ」をご覧になられた皆様に、和菓子についてご興味をもっていただき、また、和菓子によって、日本の季節の移り変わりを感じていただければ幸いです。