レストラン1899お茶の水「お茶の新しい可能性」編
- 茶
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「お茶の新しい可能性」編
皆さん、お茶というと飲むイメージが強くありませんか。おいしいお茶をいただきながらそれに合う“お茶を使った”お茶請けを食べたことはありますか?
飲むだけではない、お茶の新しい可能性について紹介したいと思います。
東京家政学院大学の4年生2名の先輩方が、千代田区御茶ノ水にある「レストラン1899お茶の水」で提供するお茶請けを共同開発しました。そこで、私たち1年生が、開発に携わった本学4年生とレストラン1899お茶の水の料理長大久保将史氏にそれぞれお話を伺いました!
- 開発された六煎茶セット
レストラン1899お茶の水について
レストラン1899お茶の水は、創業百十余年のホテル龍名館お茶の水本店の1階にあります。お店の料理は、ホテルのコンセプトである「和」を、食の観点から「お茶」と「和食」で表現されています。
百十余年、お茶の水で営業してきたこと、何か地域に貢献したいという思いのもと、「お茶の水」の地名の由来でもある「お茶」がテーマになったそうです。
レストラン1899お茶の水さんはこれまでに多数の情報番組に取り上げられ、とてもおいしそうなスイーツが紹介されています!
ホームページを拝見した時から、その魅力的な料理の数々に私たちは、すっかり魅了されました。私たち同様に、多くの視聴者の心をつかんだのではないでしょうか。
もちろん、番組では、料理長 大久保さんご自身も出演し、お店についてお話していらっしゃいました。
- 2021年10月26日(火)放送TBS「Nスタ」
- 新作 いちごと抹茶の冬色パフェ
料理長大久保さんにお話を伺いました!
レストラン1899お茶の水で提供している料理について
<お茶を食す>をテーマにお茶の新しい可能性を提供している
レストラン1899お茶の水では、お茶の概念を変える様々な料理を提供しています。
新メニュー開発について大久保さんにおたずねしたところ、ターゲットである若者の流行を知るためインタグラムを活用するとともに、社内の複数の人数で話し合いを重ね新メニュー考案されているとお話くださいました。
また、料理に使用されている食材は、同店で提供している厳選されたお茶に合うものを選んでいるそうです。
さらに、盛り付けやお皿も食材が美しく見えるように、その時々の料理のコンセプトに合わせ設定されています。
そのため、料理はどれも見ているだけで“気持ちが明るくなる”盛りつけです。
職人としてのこだわり
普段の生活の中で、和食の料理長さんにお話を伺う機会はなかなかありません。
そこで、大久保さんに職人としてこだわっていらっしゃることをおたずねしました!
料理を作る際のこだわりは…
・食べて美味しいだけではなく目で見ても楽しめる
・味や食感を様々感じられるような1品を作る
・流行り、時期、食材とお茶との相性を大事にする
<お茶を食す>をコンセプトに、ランチやディナーメニュー、またスイーツメニューと、お茶を各料理に組み込みお茶の可能性を広げていらっしゃいます。
このようなお話を伺って、日本の食文化の代表とも言える「お茶」の新たな楽しみ方を発見できました。飲むだけではなく、食すことでさらにお茶を楽しめるのではないでしょうか。料理長さんのこだわりと一つの食材から生まれる多様なメニューは、管理栄養士を目指す私たちにも良い刺激となりました。
提供する際のこだわりは…
「お客様に笑顔で帰ってもらいたいという気持ちが1番にあり、そのためにお客様の笑顔を守るような接客を心がけている。
また何よりも口に運ぶものを提供するので衛生面も大事にしている」とおっしゃっていました。
このお考えは、人と接するすべての職業において共通するものだと思います。もちろん管理栄養士にも必要とされるます。対象となる人に笑顔でいてほしい、その願いが大久保さんの開発するメニューにも込められているのを感じました。私たちもこれから経験する実習等において、大久保さんのこだわりを意識したいと思いました。
商品開発をした先輩に伺いました!
こんな素敵なレストラン1899お茶の水さんと共同開発をした先輩方にお話を聞きました。
1.コンセプトとアイデア
今回の商品開発では「五感で楽しむ」という明確なコンセプトを立て、以下3点のイメージをもって商品開発に取り組まれたそうです。
①季節やターゲットに合わせた料理であること
②抹茶やほうじ茶を使った料理にしたい
③ターゲットは若者であるが大人っぽく
イメージができあがった後は、実際のメニュー作りへ。
インスタグラムなどを活用し、トレンドの食情報を意識しながら開発が進められました。
2.試作〜完成
コロナ禍、大学で2人そろって試作することがなかなか出来ず、自宅で各々が試作。しかしすぐには情報を共有できずに手間取ってしまったそうです。
それでも二人がそろって大学で試作できる時には、案を持ち寄り、さらに試作を重ねてアイデアを現実の料理に投影していきました。
実際に作ってみると、想像していたものとは異なったり、食感がやわらかいものに偏ったり、よりブラッシュアップをしたいという想いが広がっていったそうです。
大量調理ならではの食材の工夫もされたそうです。例えば、ゼリーの試作の際に寒天やゼラチンで作ることを考えていたそうですが、プルンとした食感を残しながら温度に影響されにくいアガーを使用するなどの工夫をされとおっしゃっていました。
「これでいいや」ではなく、「これがいい」といえるよう、妥協せず、“諦めない気持ち!”が大切だとおっしゃっていました。
最終的に、試作を繰り返した中から、6品が提案されました。
・藍~浮島~
・香~ラム酒香るチーズケーキ~
・桔梗(ききょう)~軽羹饅頭~
・和~ほうじ茶かるかん~
・風鈴~抹茶餡水饅頭~
・爽涼~抹茶ゼリー~
さらに、大久保さんの技術で、自分達には思いつかなかったアイデアが詰まった商品になったそうです。
例えば、水まんじゅうはより滑らかな舌触りに、かるかん饅頭はクルミが食感のアクセントとなり、五感を使って楽しめる一皿になったとおっしゃっていました。
大久保さんと先輩のお話を聞いて
食に関する仕事のうえで最も大切なことは、受け手が喜ぶことであり、消費者ニーズに合った商品開発とこだわりを両方持ち続けることでより良い商品が提供できるとわかりました。
また、今回の取材を通してレストラン1899お茶の水について調べる中で、「お茶を食す」という考えに出会えたことは、新しい発見でした。
お茶をそのまま飲むだけではなく、様々な食材と組み合わせてお茶を食すというコンセプトをとても大事にしていて、お茶の可能性を感じることができました。
私たちも献立を考える際には、流行を意識しながらも旬の食材と飲み物(お茶)との組み合わせやバランスも大事にしていきたいと思います。
これからの学びに向けて
まだまだひよっこ1年生の私達が、将来食を提供するうえで、次の3つのヒントを得ました。
一つ目は「大量調理の難しさ」です。
大量調理では、量が増えることによって一つ一つの工程に時間が必要となります。
美味しく召し上がっていただけるよう、大量調理の知識、技術を高めたいと思いました。
二つ目は、「調理学の大切さ」です。
ゲル化をさせるゼラチンとアガーでは、調理法や食感の違いがあるため、調理学の知識が求められます。
基礎学習が多い1~2年生の時の学習をしっかりとしていきたいと思いました!
三つ目は、「より多くの料理を知っておく必要がある」です。
これまでは自分の狭い世界の料理しか知ることができていなかったことに気づきました。たくさんの本を読んだり、行ったことのない店で料理を食べたりして、新しい料理にたくさん出会うことで食の経験を積み、食の知識の幅を広げていきたいです。
取材を終えて
大久保さんのお話は、管理栄養士にも通ずるものが多くてとても勉強になりました。大久保さんが先輩方や私たち1年生にくださったご助言は、これまで職人として培われた経験に基づいておられ、食べてもらう人を笑顔にする工夫が多様にあると学ぶことができました。
また、「お茶を食す」というコンセプトの通り、さまざまな形でお茶を食事やスイーツに取り入れているのを知り、タイトルにもあるようにお茶の新たな可能性を感じることが出来ました。
先輩方の商品開発の道のりを聞き、大量調理などの経験を通した学習の活用を知ることができました。
今回の取材を通し、食べる人がお茶のように一つの食材でも多様な美味しさを経験できる工夫や、ずっと笑顔でいてもらえるような対応ができるような管理栄養士を目指すという目標を持つことができました。そのためにも、身の回りにある生活に目を向け、自分達自身が様々な経験から、アイデアを収集していけるようになりたいと思いました。
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