TOKYO KASEI GAKUIN UNIVERSITY presents
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ワテラスそば研「千代田区とそばの関わり」編

関連テーマ
  • 蕎麦
  • おやつ
ワテラスそば研
「千代田区とそばの関わり」編
千代田区神田淡路町
江戸のおやつを食べるコース (神田界隈)

前半は、地域に根ざした高級煎餅専門店の「神田淡平」さんのお店と工場の両方を取材し、どのようなニーズがあって長年愛されているのか、煎餅の歴史や作る苦労・工夫など、沢山のお話を伺いました。
後半では、区内在住の小学生10名とともに、ワテラス神田そば研の皆さんに おそばの歴史や材料、作り方を説明いただき 実際にそば打ち体験をしてきました。

2019年12月22日に千代田区のワテラス神田にてそば研によるそば打ち体験を行いました。参加した小学生は10名、大学生4名でした。江戸におけるそばは屋台が発祥です。小腹がすいたら屋台によってそばを食べて満たしたということから、「江戸おやつ」としての意味をもつようになったようです。そば打ちの前に、まずそば研の方からそばとはどんなものかそばの魅力をたっぷり説明して頂きました。

ワテラスとは?

神田淡路町にある複合施設。神田淡路町が培ってきた、「和」「輪」「環」の3つのWAを未来へ、世界へと情報を発信していくために作られた。

そばは和食で世界遺産の一つ

おそばというのは日本の伝統食なんです。和食はユネスコ世界文化遺産になり、おそばは和食ですから世界遺産の一つになります。

  • 今回の講師の方々

そばの花は何色?そば粉はどんなもの?

そばというのは畑で採れる植物です。関東地方では、夏の終わりくらいに種をまいて、9月の終わりくらいになると白い花が一面に咲きます。白い小さなお花に実ができるとそれがそばになります。私たちはそばの実とまるむき、そば粉を実際に見せて頂きました。そばの実は真っ黒な色です。そばを潰して黒い部分を取り除き、丸っこい一回り小さくなった緑色のしたもの、それがまるむきです。そして、まるむきを粉にしてそば粉になります。子どもたちもそれらを実際に観察し、触ったり匂いを嗅いだりしていました。でも、そば粉の状態ではまだそばの匂いはしません。そば粉に水を入れてこねることで初めて香りが出てきます。

そばの歴史は縄文時代から

そばの最初の原産はサンジャン地域という長江とデコン川という、チベットから中国のうんと山のほう、そこのところで取れたそうです。日本に伝わったのは縄文時代、そばの歴史は随分と古いのです。最初は先ほどの丸になった粒々の、そばコメという状態で茹でて食べていました。そば粉が出来たのは、臼石がお茶の文化と一緒に入ってきた頃でした。丸めてお団子やそばがきという、お湯で練り上げたものに変わっていきます。現在のような麺になったのは江戸時代の頃。そばは日本だけでなくヨーロッパなど世界に広まりました。おそばを切って食べるという食べ方は日本と韓国くらいしかないそうです。ヨーロッパでも中国でもアメリカでも麺にしているおそばってないそうで、冷たいもので食べるというのもこれも日本だけの文化です。このように日本のそばは日本独自の発展を遂げたようです。

そばの生産量1位はどこ?

そばは比較的寒い北の地域で採れます。世界で一番生産量が高いのはなんとロシア。国内の生産量では一番は北海道、その次が長野県、茨城県の順番。今回のそば打ち体験で使用したそば粉は北海道産でしたが、実は日本で食べられるそばの8割は輸入品なんだそうです。国産のおそばというのは非常に貴重品です。今回、そば打ちするときのおそばも貴重品である国産でした。それも新そばという秋にとれた新そばです。これで、ますますそば打ちが楽しみになりました。

  • 講義の様子

そばは江戸煩いを治した!

そばは栄養素がとっても豊富。代表的なのはポリフェノールの一種であるルチン。しかし、ここで特に興味深いのはビタミンB1です。江戸時代では、ご飯(白米)ばっかり食べていたためビタミンB1不足になりやすく、脚気になる人が多くいました。そのときにビタミンB1が豊富なおそばがもてはやされて、江戸煩いとされた脚気を治したそうです。縄文時代からあるそばが江戸時代に流行した理由はいくつかあるようですが、そのうちの一つには脚気を治したためということもあるようです。そしておそば屋さんに行くとよく出てくるそば湯、これはそばを茹でた時のゆで汁のこと。そば湯にはそばの栄養素が豊富に入っています。このそば湯が非常に健康に良いものですので、ぜひ、食べ終わったらそば湯を飲むという習慣をつけてもらいたいとおっしゃっていました。

そば打ちのデモンストレーション

そばについてよくわかったところでそば打ちのデモンストレーションをして頂きました。そば粉に水を入れて団子状にこね、薄く延ばして折り重ね、細く切って麺にしていきます。子どもたちはテーブルを囲んでそば打ちの様子を観察しながら「水全部入れないの?」「良い匂いしてきた」と言ったり、そば研の方が円錐にまとめた生地を見せてこれは何の形?と聞くと「イチゴ!」「栗!」「立方体?」「長方形じゃないよな」「松ぼっくり」と言い合ったりして興味津々な様子でした。今回は円形に伸ばした生地を四角にしてから切る江戸の打ち方。地方では円形のまま大きく延ばすようですが江戸のように土地が狭い場所ではそのやり方は不向き。そのため四角にして狭い所でも沢山打てるようになったのだそうです。

  • 蕎麦打ちの様子

いよいよそば打ち体験

子ども達と私達学生がそれぞれ4つのグループに分かれ、そば研の方に教えてもらいながら一生懸命そばを打ちました!作っている様子です。

1. 生地をこねる

大きなボウルを使って順番に生地をこねます。よくこねることがおいしいそばができるためのコツだそうです。こねるのに力を使うため子どもたちは大変そうでした。

2. 延ばす

生地を延ばしていきます。みんな手を粉だらけにしながらそば打ちに夢中。全体を同じ厚さにするのが難しかったです。

3. 切る

大きくて重い包丁で麺を切るときは大人に手を添えてもらって慎重に。どのグループも上手にできました。

4. ゆでて盛りつける

1グループずつ切ったそばを大きなお鍋でゆでた後、氷水で冷やし、その後盛り付けをします。役割を順番に交代しながらみんなで協力して行うことができました。

  • 蕎麦を盛り付ける

5. 食べる

完成したそばは茹でてざるそばにして食べました。自分たちで手作りしたそばは格別な味、みんなおいしい、と嬉しそうな声。麺だけではなくそばつゆもそば湯も忘れずにじっくり味わい、そばを堪能できました。

  • 美味しい!

最後に全員で記念写真を撮って終了。お土産にそばを揚げたものを頂きました。お店では売っていない特別なおやつ、帰ってからもそばを楽しむことができました。子供も学生も、そばについて学びそばの魅力に触れることができた時間になりました。

  • 全員で記念撮影
インタビュー

そば研の皆さんにインタビュー

  • インタビューの様子

質問1

  • なぜ神田でそば研を作ろうと思ったのか

    現在ワテラスがある場所は元々小学校があり、ここを再開発するという話が出た際にイベントができるところを作ろうとなったそうです。
    その時、神田藪そばの社長がその中の役員をやっていて、江戸のそばやそば文化を広めたいといことでそばの教室をやったらどうかとなり、そば研の方々のところに声がかかったそうです。そば打ち体験は今年で6年目で延べ1200人くらいの人がすでにここの教室に来ているとのことでした。それだけそばの文化が広まってるということが分かりました。他にもここではそば打ち体験だけではなく、そば料理の教室も行っているそうです。

質問2

  • そばの魅力は何か

    そばの魅力は人それぞれとおっしゃっていましたが、ある一人の男性はそばは様々な楽しみ方ができるとおっしゃっていました。種から育てる楽しみ、種を粉にしてそばを打つ楽しみ、食べる楽しみなど人によって楽しみ方が変わるそうです。
    また、そばは地域によって打ち方が違うともおっしゃっていました。東京は調理台が狭いため丸から四角に畳んでなるべく小さくしてから切りますが、長野では大きな丸の状態で切るそうです。そして、そばをそば粉だけで10割で打つ地域もあれば江戸のように小麦粉を入れて2:8で打つところもあるそうです。このように地域独自のそばの違いを味あうために日本のいろんなところに食べに行くのを楽しみにしている人もいるそうです。

質問3

  • 手打ちそばと機械打ちそばにはどんな違いがあるか

    機械打ちそばに比べて、手打ちそばは心が伝わるとおっしゃっていました。手で打つことによって太いものや細いものがあり、そこにもまた味が出てきます。しかし、反対に機械打ちそばは正確な太さでつくったり、大量につくることができるため、立ち食いそば屋など手軽に入れるお店に向いているそうです。それぞれのそば屋によって向いているつくり方が異なってくるため、どちらが良い、悪いというものは無いとおっしゃっていました。

質問4

  • そば研のイベントには普段どのような人が利用しているか

    住民の方々や仕事をしている方々が利用しているとのことでした。仕事帰りの方々も気軽に利用できるように休日だけでなく、平日の夜の時間帯にイベントの時間を設定している等の参加者への配慮を伺うことができました。お話を伺い、そば研の活動を皆さんがとても楽しみにされていること、また、そば文化を多くの人々に広めたいという想いの深さを実感することができました。

  • インタビューの様子

そば研の方々と楽しい時間を過ごすことができました

取材先
ワテラス神田そば研
住所 〒101-0063 東京都千代田区神田淡路町2-101-105
HP https://www.waterras.com/event/project-soba/

※おすすめの一品紹介
そば打ち普通コース 3,000円

取材・記事・撮影・調理

東京家政学院大学 健康栄養学科  磯めぐみ 石野 遥
東京家政学院大学 人間栄養学科  前田二奈 丹 朱音