司園「若者に茶葉からお茶を入れてもらう」編
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「若者に茶葉からお茶を入れてもらう」編
皆さんはよくお茶を飲みますか?お茶は世界中で飲まれ、家族や友人との団らんで、時にはおもてなしとして親しまれてきました。お茶と言っても様々な種類があり、国や地域によって違いがあります。日本で親しまれてきた日本茶もバリエーションが豊富です。その中でも、緑茶は日本人にとって馴染み深いものでしょう。現在では、ペットボトルで緑茶を飲む機会が多いと思います。忙しい日々の中ですが、たまには急須からお茶を入れて、和菓子と共にほっと一息休憩しませんか?この記事では、緑茶について、お茶の入れ方、和菓子について紹介します。
司園(千代田区内神田)
今回、お茶・和菓子コースでは11月11日に神田にある司園さんにお茶について取材をしてきました。
- 司園外観
- 取材時の様子
取り扱っているお茶はどのように選んでいるのですか?
お茶を仕入れる際、「色沢」「水色」「滋味」「香り」の四点に着目されているそうです。「色沢」とは茶葉の色つやのことで、出来の良い茶葉は艶がありずっしりして、色が綺麗だとされています。「水色」はお湯で入れたときのお茶の色のことを指しています。普段私達がよくパンフレットなどで目にするお茶の緑色は加工された色のものもあり、本来は黄色に近い緑色をしているのだそうです。「滋味」はお茶の甘味、渋味、苦味などを指しており、それぞれのバランスを大切に選ばれています。特に渋味については、飲んだ後いつまでも渋さが残るものは飲みにくいため、最初に微かな渋味を感じた後に甘みが残るようなものを選んでいるそうです。また「香り」は、茶葉の品質だけでなく、火入れの方法によっても変化するそうです。これら四点をお茶屋さんはとても重要視していますが、四つ全てが優れている茶葉はそうそうないそうです。そのため、様々な茶葉をブレンドさせ、バランスの取れたおいしいお茶になるよう調整しています。
- お茶を仕入れる際の基準
茶葉の選び方、お茶の入れ方を教えてください
司園さんでは、煎茶をおすすめしています。初めて来店された方には、100gあたり1,000円ほどのお茶をおすすめしているそうです。スーパーなどで取り扱っている茶葉との違いがわかりやすく、味のバランスが良いそうです。
- おすすめ商品(左から掛川茶・小笠茶・森茶・知覧茶・八女茶)
お茶は嗜好品であるため、一人一人の口に合ったものを選べるよう、お店で試飲をさせてもらうことができます。一度口にしてみて、美味しいと思った茶葉を選ぶのが一番良いそうです。茶葉にも様々な種類や産地があり、お茶屋さんによって置いているお茶やブレンドに違いがあります。お店の方に聞くことや試飲をして茶葉を決めることをおすすめします。また、茎茶や粉茶といったお茶もあるため、ぜひお気に入りのお茶を探してみてください!
- 販売されているお茶
- 茎茶
そして私たちも試飲させていただきました!知覧茶を入れていただきましたが、同じ茶葉でもお湯の温度によって色や渋み、苦味が変わってきます。75℃ほどで入れると、きれいな黄緑色で甘みのある飲みやすいお茶になります。また100℃ほどの熱いお湯で入れると、濃い緑色で香りがよく出ますが、渋みや苦味のあるお茶になります。
- 70~80℃のお湯で淹れたお茶
- 約100℃のお湯で淹れたお茶
お茶のお湯は冷ましてから入れましょう
お茶を入れるときのお湯が80℃を超えると渋み成分が、90℃を超えると苦味成分がでます。また、同じ茶葉や時間であっても、入れるお湯が高温であれば香りが良く出ますが、苦味や色の濃いお茶となります。70~80℃で入れるときれいな色の飲みやすいお茶となります。そのため、お茶を入れるときの適温は70℃~80℃が適温です。煎茶を入れるときは、お湯を沸騰させた後に少し冷ましてから入れましょう。またお茶には、抗酸化作用のあるカテキンが含まれているため体に良いですが、飲むと目が覚める効果があります。しかし、お茶を温度の低いお湯で入れると、テアニンと呼ばれる安眠効果のある成分が出るため、寝る前にお茶を飲む場合は低い温度で入れましょう。
他にもお茶の入れ方として、冷茶があります。冷茶は最近飲まれるようになりましたが、皆さんがペットボトルのお茶を購入する時やボトルに入れて持ち運ぶのは冷茶が多いのではないでしょうか? ボトルに入れて持ち運ぶ用に入れるお茶のおすすめは、焙煎が強いお茶です。お店によって様々なお茶があるため、どのお茶が冷茶に向いているか、おすすめをお店の方にぜひ聞いてみてください。焙煎の強いお茶は香りや味が強いため、冷茶でも美味しく飲めます。また水出しで入れると、酸化しづらいそうです。冷茶を入れる際は、焙煎の強いお茶を使用し、水出しで入れましょう。お茶パックを使い、急須がなくても入れることができます。また、茶葉の量は1Lあたり15~20gほどです。
お茶を入れる道具をそろえるとより美味しいお茶を入れることができます
お茶を入れる道具と言えば、急須です。急須は、朱泥と呼ばれる鉄分の多い土を焼き、作られた赤いものがおすすめです。他にもたくさんの種類があり、デザインも様々です。湯飲みも必需品です。大きさやデザインの種類が豊富であるため、自分に合った使いやすいものを見つけましょう。他にも、沸かしたお湯を冷ます目的で使われる湯冷まし、茶葉を保存するための茶筒などがあります。茶筒はかわいらしいデザインの物がたくさんあり、インテリアとしても映えるのではないでしょうか。お茶を入れる道具は、揃っているとよりお茶を楽しむことができます。しかし、マグカップの上に茶こしをのせ、そこに茶葉を入れ少し冷ましたお湯を入れるといったやり方やお茶パックでも手軽にお茶を楽しむことができます。
- 急須
- 湯呑み
- マグカップ
- 茶筒
道具がなくても手軽にお茶を楽しめますが、あれば、より美味しく入れることができます。司園さんでは、お茶だけでなくお茶を入れる道具も取り扱っています。ぜひ、お茶とともに自分のお気に入りの道具も探してみてください。
宝来屋(千代田区九段南)
お茶と一緒にいただくものとして日本の食文化である和菓子のイメージは強いのではないでしょうか?和菓子は四季を目で楽しみ、味わい、またお茶の香りを引き立たせてくれます。そこで私たちは11月24日千代田区にある和菓子屋の宝来屋さんに取材に行きました。
- 宝来屋外観
- 取材時の様子
明治元年創業の宝来屋さんでは上生菓子、お饅頭、お赤飯、進物品などが販売されています。季節にふさわしい趣が取り入れられ形、色彩、香り、食感など五感で楽しめる生菓子には、あんで作られる基本的なお菓子から、フルーツを使った商品があり、女性に人気があるそうです。取材時にはみかんを丸々一個使ったみかん大福が販売されていました。
- 11月の和菓子(左から栗ぐり・焼芋羊羹・栗鹿の子・焼栗鹿の子)
- 季節のお菓子
また宝来屋さんではお店の2階で、購入した和菓子とお茶を楽しむことができます。お茶は2種類あり、煎茶と小豆茶が提供されています。煎茶の方は通年であり、神楽坂にあるお茶屋さんの茶葉を使っているそうです。小豆茶は今年から提供するようになった冷茶で主に初夏から秋口にかけて飲むことができるそうです。今回お話を聞かせていただいたのが2階の飲食スペースでした。照明の光が暖かく、また静かな雰囲気でとてもリラックスできる空間となっていました。一休みしたいとき、和菓子と共にお茶をいただくのはいかがですか?
今回取材させていただいた宝来屋さんは昨年にも「たべチヨダ」にて取材させていただいています。興味を持っていただけたらこちらもぜひご覧ください。
実際にお茶を淹れてみた
今回取材した2つのお店の商品を実際に買い、大学に持ち帰ってみんなでお茶の時間を楽しむことにしました。今回司園さんで購入したのは、おすすめ商品にもあった掛川茶、知覧茶、八女茶です。この3種類を淹れてみました。
掛川茶は深蒸し、知覧茶は中蒸し、八女茶は浅蒸しで作られています。深蒸しは苦みや渋みを楽しみたい人にお勧めで、浅蒸しは緑茶をあまり飲んだことがない人や女性、子どもにお勧めです。今回、80℃前後のお湯約100ccと茶葉約2~3gを使用しました。掛川茶は、渋みや苦みもありますが、後味がすっきりとしたお茶で、水色も鮮やかな緑色でした。
知覧茶は、苦みや渋みが強めの皆さんがイメージする日本茶という感じで、水色はやや黄味掛かった緑でした。
八女茶は、苦みや渋みが少なく、さわやかな甘さが感じられ、緑茶が苦手な人でも美味しく飲んでもらえる味だと感じました。水色は三種の中で一番淡い緑でした。
慣れない手つきで急須に茶葉、お湯をいれ、お茶ができるまで話をしながら待っているそんなほのぼのとした雰囲気も印象的でした。実際に飲んでみて私たちの中では驚きの声が多かったです。茶葉によって味が全く違うこと、鼻にぬける香りがとても良いこと、口当たりから後味まで楽しめること、普段触れることが少ないからこそ沢山の発見がありました。
お茶の歴史、特に煎茶の歴史は浅く、鎌倉時代には上流階級や僧などに広まっていましたが、庶民にはまだ馴染みがありませんでした。江戸時代になって庶民にも高級嗜好品として広まりましたが、現在のように日常的に飲まれるようになったのは、機械化による量産生産が可能になった大正~昭和初期にかけてです。今では、缶入りのお茶やペットボトル入りのお茶が身近ですが、ぜひ一度茶葉からお茶を淹れてみてください。
- 購入したおすすめ商品の掛川茶、知覧茶、八女茶
- 掛川茶
- 八女茶
- 知覧茶
お茶と和菓子
司園さんで購入したお茶、宝来屋さんで購入した和菓子(山茶花と栗鹿の子)を一緒にいただきました。和菓子の繊細な色使い、しなやかな形がとても素敵で見つめてしまいました。また、和菓子の甘みにお茶の渋さや苦味がちょうど良く、暖かなひとときを過ごすことができました。皆さんもほっと一息つきたいときに、お茶と和菓子を用意してみてはいかがでしょうか。
- 栗鹿の子と知覧茶
- 山茶花と知覧茶
最後に
新型コロナウイルスの影響により自宅で過ごす時間が長くなったのではないでしょうか。1人でゆっくり過ごされる方、ご家族と共に談笑しながら過ごされる方様々いらっしゃると思います。このような時だからこそ茶葉から入れたお茶と和菓子を取り入れてみてはどうでしょうか。ひと手間加えることで、皆様の有意義な時間により一層の安らぎを与えてくれると思います。
私たちが目指す管理栄養士は、栄養管理や献立作成を主として活躍していますが、食事を通して食の楽しみを教えるのも役割の1つだと思います。行事食を提供している施設は多くありますが、そこにおいしいお茶や和菓子を取り入れることでより日本の伝統や日本特有の四季を視覚的に感じ、色合いも鮮やかになります。このように、今回の経験を通じて健康な体づくりに加えて、心のケアをもできる管理栄養士を目標としてこれからの大学生活に励みたいと思いました。少しでも多くの方、特に若者が興味を持ち、苦味や渋みが苦手な方は浅蒸しの茶葉を、逆に渋みを楽しみたい方は深蒸しの茶葉を使って頂き、さらにお湯の温度を探求して自分好みの味を見つけて頂けると幸いです。
住所 | 〒101-0047 東京都千代田区内神田1-18-10 |
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TEL | 03-3295-5077 |
※おすすめ
司園さんでは、初めて来店された方に100gあたり1,000円ほどのお茶をおすすめしています。試飲もできるそうです。ぜひお気に入りの茶葉を探してみてください。
住所 | 〒104-0074 東京都千代田区九段南2-4-15 |
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TEL | 03-3261-4612 / 03-3262-2412 |
HP | https://wagashi.houraiya.co.jp |
※おすすめの一品
月ごとで変わる上生菓子1個281円~。12月はサンタ、冬景色、聖夜などクリスマスモチーフのものがあります。
商品の性質上、普段ほとんど来店されることがない大学生に取材されたことはとても新鮮な経験でした。今回は、こちら側が話をする時間が長かったですが、もっと学生さんが感じたことや思いついたことなど積極的にぶつけてもらえれば、面白い発想が生まれるかもしれません。