TOKYO KASEI GAKUIN UNIVERSITY presents
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和紙山形屋紙店「日常の食事と和紙の関係を知ろう」編

関連テーマ
  • 和紙
和紙山形屋紙店
「日常の食事と和紙の関係を知ろう」編
千代田区神田神保町

みなさんは『和紙』と聞いてどのようなものを想像されますか?
身近に何か和紙を使う場面がないか考えてみても、すぐには思いつかないかもしれません。近年ではデジタル化が進んでいることで、紙自体を使う機会が減ってきているように感じられます。
『和紙』には長い歴史があります。そもそも製紙の起源としては考古発掘によって紀元前の紙が報告されています。日本では、西暦610年に高句麗から渡来した僧が製紙をしていたという記述があります。
このように長い歴史を持つ和紙の中でも細川紙、本美濃紙、石川半紙は2014年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。日本の和紙の技術は世界に認められており、洋紙とはどこか違う魅力のあることがわかります。
では、『和紙』は現在どのように使われているのでしょうか?

和紙山形屋紙店で取材開始

私たちは、和紙の特徴や使用方法などを知ることで、日常生活をより豊かにできるのではないかと思い、千代田区にある「和紙山形屋紙店」で取材させていただきました。こちらのお店は、和紙はもちろん、和紙を使った日本各地の様々な和小物を取り扱っています。いろいろな目的を持った方が利用できるようになっています。誰でも気軽に立ち寄ることができるのではないでしょうか。

  • お店の商品

まずは、お店の方に「身近な和紙について」伺った内容を紹介します。

  • お話を伺っている様子
  • 学生

    和紙は、一般的に、日常のどのような場面で使われていますか。

  • お店の方

    包装紙、書道用半紙、障子紙などがありますね。お店では、和紙で作られたはがきや、便箋、ご祝儀袋、カード、ポチ袋など数多くの種類の商品を取り扱っています。

  • 学生

    和紙は、洋紙と比較すると、身近な存在と感じにくい部分があります。

  • お店の方

    確かに、和紙は製造にかかる手間を考慮すると、洋紙より高価なものになります。そのため、近年は、和紙の存在が敷居の高いものとして捉えられる傾向にあります。しかし、和紙は、生活に欠かせないものに使われているという点で、非常に身近な存在でもありますよ。

  • 学生

    その和紙で作られた生活に欠かせない身近なものとは、何なのでしょうか。

  • お店の方

    それは、お札です。日本のお札は、三椏(みつまた)という木の皮の繊維から出来ています。和紙で作られているために、海外のお札と比較して丈夫であり、長持ちするようになっています。

  • 学生

    和紙には大人が使うようなイメージがあります。子どもにとっても身近な和紙の使い方はありますか。

  • お店の方

    和紙で折り紙をしたり、様々な柄や色の和紙を用いてちぎり絵をしたり、千代紙を使って装飾したり、和紙のブックカバーを作ったりと、使い方は多くあると思います。大人も子どもも、どのように使用するかは、お客様の自由ですが、無駄に使ってほしくないという思いがありますね。

  • 学生

    和紙を無駄にしない、上手な使い方について教えてください。

  • お店の方

    例えば、練習で使用した書道用半紙を捨てずに、細く切って束ねることで「はたき」として再利用する方法があります。また、包装紙として使われた和紙を捨てずに、ちぎり絵に使用したり、箱に貼って装飾をしたりして、何度も楽しむ方法があると思います。「すぐに捨てずに大切に使ってほしい」ということですね。和紙は、一度丸めてから広げることで、もみ紙として異なる風合いを楽しむ方法もあります。

  • 和紙のはたき
  • もみ紙

私たちは、想像以上に、身近な場面で和紙を使用していることを知りました。お店の方の「大切に使ってほしい」という想いをお聞きして、物を大切にするという日本の文化の良さを改めて感じました。

次に、私たちの課題である「日常の食事と和紙の関係」について質問しました。

  • 学生

    日常の食事に和紙を取り入れて使うためにはどのように使うなど、例はありますか?

  • お店の方

    食器の下に敷くランチョンマットや、和食屋さんに行くとよくお品書きがありますね。その他、お茶席で使うお懐紙に和菓子やケーキをのせたり、水引(お祝い袋についている紐のようなもの)を箸袋の装飾として用いたり、あと天ぷらの紙。色々飾りを作ったり、鶴を折って置いてみたりと、和食屋さんで、色々飾りに使ったりしますね。

  • 水引の飾り
  • 学生

    和食は、天ぷらの紙や水引などがあったと思いますが、洋食では何かありますか?

  • お店の方

    洋食でも、例えばテーブルクロスにしたり、レースみたいな模様のペーパーもいっぱいあるので、そういうものをテーブルコーディネートに使ってみるのもいいですね。

  • 学生

    例えば、ハンバーグなどを作ってみたときに、飾りみたいに何かできたりしますか?

  • お店の方

    飾りは購入したお店が色々考えてするでしょうけど、うちはお店側じゃないので使い方を聞いたり、購入したお店に行ってこういうところに使っているんだ、ということはあります。和食屋さんは結構ありますね。装飾として棚に千代紙の折り紙が置いてあったり、箸袋に千代紙が結んであったり。千代紙で楊枝入れを作って、1本1本の楊枝を入れて作ってあり、素敵だと思いましたね。

和紙の使い方は購入したお店側に任せていると伺ったので、私たちも食事と和紙を合わせてみました。今回は食事の種類ごとの比較するために、和食の代表である焼き鮭、肉じゃがと洋食代表のハンバーグ、和菓子の草餅を選択しました。食事に合わせて和紙を選び、合わせることで通常よりも食事が明るくなったと感じました。

  • ラメ入りの赤い和紙と焼き鮭
  • ラメ入りの緑色の和紙と肉じゃが
  • ラメ入りの白い和紙とハンバーグ
  • 懐紙と草餅

日常の食事だけではなく、年間行事との関わりについても質問しました。

  • 学生

    年間行事での和紙の使い道はどんなものがありますか?

  • お店の方

    年間行事での使い道はたくさんあります。例えば、お正月はお飾りにしたり、神社の御幣にしたり、日本酒を包んだりなどたくさんありますね。3月はお雛様の下に敷いたり、折り紙でお雛様を折ったり、行事ではいろいろ考えるのではないでしょうか。5月は兜を折ったり、七夕には笹に飾る短冊とか、そういったものに和紙を使っています。12月はプレゼント包装にしたり、サンタさんを折ったり、クリスマスカードに使ったり。使い道は、是非皆さんに考えていただきたいです。

  • 店内のディスプレイ

最後に

取材させて頂いたお店の田記さんはとても温かく、真摯に相談に乗ってくださいました。お話を伺い、和紙の活用法には様々なものがあり、身近なところで和紙が使用されていることが分かりました。普段の食卓で和紙を使用することは難しく感じるかもしれませんが、ランチョンマット代わりとして敷いたり、千代紙で折ったものを添えることで、普段の食卓を特別なものに変えることが出来るので試してみてはいかがでしょうか。今回の取材を通して食事に和紙を添えることで食卓が明るくなるということを学びました。和食店を訪れた際に和紙がどのように使用されているのか参考にし、さらに和紙の活用法を考えていきたいと思います。これからは、管理栄養士の卵として、五感で楽しんでもらえることができ、食事の時間が楽しみだと思っていただけるような食卓づくりに取り組んでいきたいと思います。

取材先
和紙山形屋紙店
住所 〒101-0051 千代田区神田神保町2-17
TEL 03-3221-7829
HP http://www.yamagataya-kamiten.co.jp/
SNS https://www.instagram.com/yamagataya_kami/

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店舗からのメッセージ

この度取材をお受けしまして、学生の皆様が和紙を日々の生活の中に取り入れるというテーマで熱心にご質問されていたのを大変うれしく思いました。これからも和紙に興味を持っていろいろお使い頂ける機会が増えましたら幸いでございます。